職人の星 第二回 マンガ広告家 うるの拓也 氏(全4回)

第1話

とにかくウケなきゃ始まらない!

うるのクリエイティブ事務所・代表
マンガ広告家 うるの拓也さん


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1964年11月 茨城県生まれの44歳。
地元、茨城県土浦市に事務所をかまえながらも、
日本全国はもとより海外からもオファーが来る、うるのさんの「マンガ広告」。
でも、そこに至るまでには様々な時代の波や逆境があった。
全四話でお届けする、「立ち向かい続ける大人」うるのさんの生き様をご覧下さい!
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:まずは、マンガ広告にたどりつく経緯を教えてください!


僕は小学生くらいの頃から、
「マンガ家になりたい」じゃなくて「なる!」って決めてたから、
なれない可能性って一回も考えた事がないんですよ(笑)。
当時、東京デザイナー学院という専門学校に通ってたんですけど、
在学中、本当になれてしまった。

でも、デビューして賞金もらったけど、賞金で生活できるわけじゃないし。
引っ越しをして、当時発売したばかりのファミコンを買ったらもうない!って感じでした。

それで、「アルバイトじゃ済まない期間を働く事になるだろうから」って就職したんだけど、
「自分は本当はマンガ家」だと思っているもんだから、全然身が入らない。
仕事もシャレでやってるわけじゃないから、どっちつかずになって、
結局は辞めざるをえなくなりましたね。

その後もう一回マンガの道に打ち込んだ結果、一応連載までいくものの
今度は出版社がつぶれて、載ってる本が消滅してしまったんです。

食えないので再び広告業界に戻るわけですが、やっぱりマンガを辞める気はない。
「マンガ家って広告業界でも使えるんじゃないかな?」
って、その時思ったんですよ。


:デザイナーとしての独立のキッカケは何だったんですか?


「DTP」っていうものが世の中に出始めた頃に、
僕はその「DTP」っていうのを、なんとしても会社に導入して欲しかった。
これからは絶対そうなると思ってて。
でも、当時の会社では「DTP」導入を見送るっていう結論になっちゃったんだよね。
これはもう「辞めて自分で独自でやるっきゃねえな」っていうのが独立のキッカケです。
※「DTP」=Desktop publishing:パソコンでデザインする事☆

それで独立する時に、当時120万円もしたMacを買ったんだけど、
そのくらいの投資をしているデザイナーさんはゴロゴロいたわけです。
当然、「DTPが出来るようになったって言っても、それだけで食えるかな?
って考えたんですね。
その中でやっていこうとすると、独自のとんがった部分をつくらなきゃいけない。
僕の場合はそん時にマンガ家に戻ってくるわけですよ「キラーコンテンツを作ろう!」って。
つまり、マンガと広告の融合っていう事を、本格的にウチの売りにしていこうと思ったんです。
それで現在までくるんだけど、最初はうまくいかなかったなぁ・・・。
当時はインターネットもないしね。


:どうして、茨城に戻られたんですか?


30歳の時に念願の娘が誕生して、
その子供を「東京のゴミゴミした所で育てたくない」って思って地元に帰ってきたんです。
クライアントさんには「今度、土浦ってとこに引っ越します!」って声かけてね。
みんな「一時間くらいで行けちゃうんでしょ?」とか言ってたのに・・・

・・・パタっとなくなるからねぇ~。全部リップサービスだったよ(笑)。
本当にまったく仕事がなくなって「クビつるか?」っていうくらいに追いつめられちゃった。
でも、そんときたまたま昔付き合ってた東京の会社から、

「ホームページって作れる?」っていう話が来たんだよ。
当時は、ホームページって言葉自体「聞いた事はあるよね!」ってくらいのもんで、
もちろん見た事もない。だけど「まかせろ!」って言って引き受けて。
それから必死にホームページの勉強をして、なんとか乗り切った。
そうすると今度は「できる奴」って事になっちゃうじゃないですか。
そっからは、もうホームページ屋さんですよね(笑)。

とにかくオーダーが多かった。
その頃の制作はプログラム屋が主導だったから
「映ってりゃいいじゃん」的なものが出来上がる。
でもこっちはずっと広告をやってきてるから、ただ見せるだけじゃなく、
「コンテンツとして企画しなきゃダメでしょ!」って事を
ごく自然に考えるわけじゃないですか。


:その頃にしたら画期的ですよね。


うん。だから、ものすごい勝率でしたね。
97年頃には、県内でホームページを立ち上げるとなると7割は僕って感じでした。

もちろん中にはマンガ家らしい企画もまざりますよ。
そういうプレゼンや企画を通じて、マンガを使った広告の
やり方っていうものが段々身に付いてきましたね。

独立以来、ずーっとマンガ広告っていうのは課題にしてたんですよ。
出版業界ってどんどん冷え込んでっているでしょ。
とにかく冷え込んで、マンガの休刊・廃刊なんてめずらしくもない。
それはテレビとかも似てて、そういうエンタメ物ってのが
いわゆる「広告タイアップ」っていう形以外で作り得なくなっていく
時代にどんどん進んで行くイメージはありますね。

マンガでも、そういうやり方で立ち上がっていく事を考えないと、
「その世界にいる事すら許されなくなるかも」っていう危機感があった。
それでいて、世間のマンガ広告ってつまんなかったんだよね。・・スッゴク。


:マンガ広告っていえば、「○ペンの○子ちゃん」とかが思い浮かびますね。


いや、あのレベルならまだ許せます(笑)。
でも、ほとんどはあれよりヒドイんですよ。まったく筋がない。
「○ペンの○子ちゃん」は、かろうじてストーリーがあるじゃないですか。
だけど、よく世間に出回っていたマンガ広告っていうのは、解説だけなんですよ。
ストーリーはまったくない。

「当社のAっていう製品はこんな能力があります!さあ今すぐお店へ!」

・・・って、これじゃどうにもならないですね。
まず、マンガとしてストーリーになっていて、その中で商品情報や知識が含まれている、
タイアップかコラボレーションンに近いものが、僕はマンガ広告だと思うんです。
そこができてない限りは、何本打った所で自己満足か、
イラストカットの延長線上でしかないしね。


:うるのさんのマンガ広告が本格的に売れ始めたのはいつ頃ですか?


ちゃんとインターネットっていうものが普及し始めてからなので、
えーっと、・・・今世紀入ってからですね(笑)。

2000年以前は、ネットで取引相手を探すっていうアクションにまで
踏み込んでた企業は、そんなに多くはなかったはずです。
むしろ、既存の取引相手に対してネットがフォローをかけてるっていう
パターンの方がむしろ多くてね。
会社案内の内容がまんま落とし込まれてるだけで良かった。
でも、そっから先はホームページが第一線になってきちゃったよね。
むしろパンフレットの方が二次。

「検索サイトで見つけて、興味を持ったから会ってみてパンフレットを受け取る」
っていうアクションの流れだから、僕のホームページはそういう風に作ってみたんだよ。
そしたらうまくいったみたい(笑)。
そこから先はマンガのオーダーが普通に入る状態になってます。

ちなみに問い合わせは、広告代理店と一般企業が半々くらい。
代理店さんは、今までそれなりにマンガ広告だってやって来ているはずなのに、
それでいて満足してないんだよね。
だから、自分たちの想い描く物をちゃんと形にしてくれる人じゃなきゃダメ
だっていう意識になってきてる。そこが僕らの食い込める余地だよね。

じゃあ、なんで他のマンガ広告はダメなのか?って言うと、
実はマンガ家はマンガ広告なんか描きたくないからなんです。
売れっ子の先生はそんな事しますか?っていう意識が根底にあるからね。
本業ではない広告の仕事を受けるっていうのは、
ただ金のためであって本来はやりたくない。

でも、僕の場合は広告業は水商売だっていう考え方をしてる。
ちょっと子供には聞かせられない言い方だけど、風俗だと(笑)。
はっきり僕はそう思ってる。
つまり自分がイっちゃいかんのです! 根本はお客様のためなんですよ。

マンガ家って本質的に、まず自分がイカなきゃしょうがない。
そこでズレが出てきちゃうんだよね。
そんな事をやっているヒマがあったら、売れるマンガを描くための準備期間にするなり、
出版社まわりするなりした方がマシじゃないかって考える。
それでもあえて生活の為に受けざるをえないっていう形で、
もともとマンガ広告っていうのは立ち上がっているんですよ。


:それって、根本的に違いますね。


「こんなの人目につかない方が助かる」って思ってるぐらいのもんだから、
脚本がどうであれ、言われた通りに描くだけだよってなるわけじゃないですか。

・・・にもかかわらず、お客さんもマンガ家の先生に描いてもらったって
いうことで満足しちゃってる。実際にはそこに何百万つっこんだのかは知らないけれど、
捨て金になってるよね。広告効果にはたぶんつながってない。
だからマンガ広告ってものの可能性はもっとあるはずなのに、広がっていかないんだよ。

マンガ広告は、ここを住処にしたいんだっていう人が描かなきゃダメだと思う。
プライド持ってないとやれない仕事なんですよ。

みなさん、企業の方と会うと必ずおっしゃるのは、
マンガ家に自分の想いや気持ちをちゃんと伝えて、分かってもらって、
そのマンガ家のプロデュースのもとで、きちんとした作品を作りたいという事。
そうでなければ、マンガという表現方法を使って広告を打つっていう
事自体があまり意味をなさないじゃないかって皆さんおっしゃる。

でも、マンガ家は広告やりたくないし、
自分は広告には関係のない人間だと思っているから当然代理店を立てるんだよね。
マンガ家が直接、企業さんと「がっぷりよつ」って事はない。
それをやっているマンガ家がいないもんだから、
今うちがツボにはまってるんだと思うんですよね。


:たしかに、いくつかマンガ広告のサイトはみつけたんですが、
 全然違うなと思ったんですよね。


考え方が全然違うと思います。広告やさんが立ち上げたマンガビジネスと、
マンガ家が立ち上げたマンガビジネスは全然違うって思ってるんです。
具体的にはね・・・


:・・・という所で、第二話に続く!

次回は、
まずはウケる!興味を持ってもらう!そこにこだわり続けるうるのさんが、
あなたの強みをズバリ言い切っちゃいます!お楽しみに。

 

第2話

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USP(Unique Selling Proposition)=「独自の売り」
特に受注産業のクリエイターには見えにくいものですね。
でも、今回はうるのさんがズバリあなたのUSPを答えてくれます!!
それは、とっても意外な答え・・・。
今回はちょいと長いですが、かなり重要な事が書いてあります。
それでは、第二話どうぞ!!

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:いくつかマンガ広告のサイトはみつけたんですが、
 うるのさんのサイトは、全然違うなと思ったんですよね。


考え方が全然違うと思います。広告やさんが立ち上げたマンガビジネスと、
マンガ家が立ち上げたマンガビジネスは全然違うって思ってるんです。


:具体的にはどういう感じなんですか?


マンガ家が作るマンガ広告って、ストーリーやキャラクターを、
どうやって商品の付加価値に結びつけるかって事を、必死で考えるんだよね。
まずはマンガじゃなきゃいけないし、マンガは面白くなきゃいけないって、
そっちが主なんですよ。

広告やさんは発想が逆、基本理詰めなんだよね。
例えば、企業の志だとか、従業員の人間性の高さとかは広告に反映できてないんだよ。
お客様の方からみれば、それは商品として変える部分ではないし手元に残る部分ではない。
でも現実にはお店に言って、気持ちよく挨拶してくれる店とブスっとしてる店だったら、
前者に行くに決まってるんだけど、広告の中でそこを強くアピールする事はない。
「広告の品、たまご100円! うちのハムはこんなに違います!」っ
そこで勝負するしかない。だから広告やさんって必ず理詰めなんですよ。

でもマンガっていうのは逆で、キャラクターの人間性みたいな所に
全てがのっかってくるでしょ。
映画でもドラマでも、その人物が魅力的だから生き方を肯定できるとか、
その活躍を応援できるっていう切り口だから逆なんだよね。
その中で、いかに会社や商品を活躍させるか。会社や商品もキャラクターなんですよ。

僕は、A社の広告を引き受けたから、A社の宣伝のために作るんだと思わないんですよね。
マンガとして、お題がそれだって言われているだけだと捉えてるんです。
落語家さんみたいなもんかなぁ。

たとえば、人気のマンガ「名探偵○ナン」で、
「今回は○○社のコピー機が事件解決のカギになる」っていうストーリーで
フツーに「名探偵○ナン」を描けば、結果として○○社のコピー機の
広告になってるじゃないですか。
それでいいっていう事だと思いますね。広告マンガっていうのは。
そう描かないと、たぶんダメだと思う。

ウチの場合は、読者が広告っていう眼鏡をはずして考えても、
このマンガはそれなりに面白いじゃないか」っていうものになってないと、
「価値も提供してないのと同じ」だと思ってます。


:まずは興味を持ってもらわないとしょうがないって事ですね。


まずはウケる! そこはこだわりますよ、スッゴクね。
広告やさんがマンガに目をつけるっていうのは、珍しくもなんともないと思うんですね。
広告のほとんどは、イラストとか、何か入ってるじゃないですか。
そこで、もう一歩踏み込んで1コママンガなり2コママンガなりになったり、
図やフローチャートにイラストつけたりすれば、
理屈はマンガのコマ割と変わんないもんね。

そういうのって珍しくはないでしょ。
でも、僕らはマンガを描きたくてこの世界にいるわけだから、
マンガとして成立してなきゃダメなんですよ。
やっぱりそこにはこだわってますね。

地元で中小企業さん達とのコラボレーションでビジネスやってみたりとか、
今日まで色んな事やってきたわけですが、その時にすごく身につまされたのって、
なんていうのかな・・・、

「広告業をまずやりたいっていうのが先にあって、
デザイナーやマンガ家でありたい」
っていう人と、

「生きて行く手段として広告業を選んでる」
っていう2タイプあるんですよね。

広告業を「生きて行く手段」として捉えているだけの人間って、
ある程度の収益に届いていればそれでいいんだよね。
別の方法で同じだけの収益があるなら、そっちでもいい
っていう事になっちゃうんですよ。

ところが、こっちは他の方法では生きて行きたくないんです。絶対にね。
そこで、齟齬が出てきちゃう。こっちも最初は生きて行かなくちゃいけないから、
ある程度の所まで歯車があうんですね。ところが、ある程度の成果かまで達してしまうと、
「この収益が続くなら」って守りに入っちゃうんですよ。

でも、こっちのゴールははるか先にある。ここまでのモデルを活かして次に挑みたい。
だから噛み合なくなってしまうんです。同じ事の繰り返しでした。
マンガ家本人が「自分の道を作っていく」っていう所に行かないといけないんだな、
という結論になりましたね。

あと、やっぱり成功事例は油断を作りますね。似たような売り方を繰り返しちゃう。
経営者だと、ある程度パターン化して単価を抑え、収益を上げる方法もあるでしょう。
でも、そうなると作り手は切られていく運命にあるので、
自分の仕事に対する取り組み方から変えないと、やっていけないだろうと思いました。

うちの場合はマンガの話になってるけど、広告業をやっている人って
「広告を買ってもらってる」と思っている人が結構いるでしょ。
それは勘違い。広告が欲しいお客さんなんてまずいないでしょうね。
マンガでもWEBサイトでも同じ。絶対に。欲しいのは売上だから。



:そういう人は多いと思いますよ。


「僕のデザインを買ってもらってると思ってる」そのとおりなんだよ。
だけど、本当に買っているのはあなたのデザインがもたらす売上なんだよね。
 でも「うちのデザインなら売上5倍になりますよ!」なんて吹けないないじゃないですか。
吹けたら世界一ですよ。それはないでしょ。

でもね・・・。
それでも、僕はそこを見ないとダメだと思う「勝つ気でやれ」って。
「勝つ」っていうのはお客様の売上が立った時ですよね。

オリンピック選手が「絶対、金とって帰ります!」っていうけど、
やってみなきゃわからないじゃない?
だけど「とれないかもしれませんね~」っていう選手を送り出す気になれないしょ!?
それと同じ事で、本気で金取る気でやって結果が「銅」であっても、
誰も非難しないですよ。本人がやりきったならね。
逆に「6位くらいが限界ですねぇ」って言っといて「金」取って帰れば、
それはそれでかっこいいですけどね、本当に6位だったら怒るよ(笑)。

うちらの場合、お客さんに「一緒に二人三脚で金を取りに行こうぜ!」ってね。
金を取るのはお客さんじゃなきゃいけない。


:オリンピック選手のコーチと一緒ですね!


そうそう。
先生モノのドラマとかだと、熱血先生とやる気のない生徒がいて、
そのうち先生の熱血に染められていっちゃう、っていうのありますよね? 

お客さんが「忙しい」とか、ちょっとやる気のない状態にある時ほど、
まずはこっちが燃えてみせないと、絶対についてこないですよ。

それなのに、こっちが「今のギャラだとここまでですね」とか、
「もっとお金くれたらできます」とかやっているから、それ以上の段階にいかないんです。
学校の先生が「もう夜だから、お子さんがどうなっても関係ありません」
「残業手当がないと補導とかできないんですよね」って
言うのだとかっこ良くないですよね。広告業はそれと同じだと思っています。

あと、経済的に苦しいと太鼓持ちになりがちでしょ?
お客さんの機嫌を損ねたくないから、
「ここは赤でいいよ」って言われた時に、「まずいだろ」って思ってても
「そうですよね~」って言いかねないでしょ?
でもそこでキャンと泣いちゃダメだよね。
そりゃぁ、お金出すのはお客さんだから、最終決定なら仕方ないですけど、
最後まで抵抗はします! そこにはこだわるし、そこで折れてはダメ。

お金でもキャンと言わない。黙って値引きはしない。
相手がお金で折れる事ができない場合は、他のお客さんを紹介してもらったり、
時間を伸ばしてもらったり、支払いを早くしてもらったり、
何か折れ合える所を作るんだよね。
相手の中にもちょっとぐらい「コンチクショー」って部分を残さなきゃダメですよ。
それが残るから、後を引いてくれるんだよね。


:そこで妥協すると、どんな風になります?


一方的に折れてやってると2パターンしか道はないです。
ひとつは、引け目を感じて会いづらくなってくる。もうひとつは、
あいつは叩けばキャインと泣くぞっていう風に思っちゃう。
どっちも自分にとっちゃ良くないでしょ?だったら折れない方がいい。
ちゃんと手当もしますけどね。

切る時は切る!そのかわり最後は必ず薬を塗って帰る。
カマイタチみたいでしょ(笑)

広告業ってそこをキチンとしていかないと、成り立たないですよ。
完全時給じゃなくても、制作の仕事はタイムイズマネーには違いないですし、
その側面がある以上は、きっちりシビアに考えていなかないと、どうにもならないよね。
どこかでお客さんとはフィフティー/フィフティーで行きたい。

僕、こんなかっこしてるけど、本当は大嫌いなんですよ・・・。
髪の毛だってバッサリいきたい。楽ですもんねー。
だけど、なんでそんな格好するの?っていうと、
まず一つはお客さんが「マンガ家が来る!」って期待しているのに、
フツーの背広着てパリっといったって「あんた本物?」ってなるでしょ?

その後、どんな事言っても信憑性にかけちゃう。
パっと見て「カタギじゃねえーー!!」ってなると全然違う。
本物だってスタイルで示してあげないとね。
ラムちゃん」のTシャツ着て、「ザク」って書いた紙袋持ってても
本物っぽいには違いないんだけど、別の意味で不安になるよね(笑)。

もうひとつは、
あなたの方が人間的には上!って、落ちてあげるっていうのも大事だと思ってます。
「私はマンガもデザインもプロだけど、そこをはずしたら
貴方には人間的に遠くおよびません!」っていうのをキャラ作りとしてやってますね。

と言うのも、デザインもマンガもこっちがプロだし、
できれば全部言う事聞いて欲しい。広告のためには主導権を握っていたいんですよ。
でも、お客さんは、自分の仕事なのに主導権を持って行かれたり、
言う事なす事コチラの言い分だとカチンと来るでしょ?

でも、いかにもっていう格好で行って、「ここだけはプロです!他はダメだけど・・・」
っていうスタンスならお客さんもコチラの意見が受け入れやすいんです。
お客さんの言い分だけに振り回されずに、きちんとコチラの意見を通すために、
僕は必ずどこか自分の中にズッコケた部分を作ってますね。
要望は聞くけど、振り回されない。


:今まで、お客さんとの関係性について深く考えてこられたんですね・・。


僕らは、受注する時点ではモノがない仕事です。
過去の実績があるだけで、他には何も判断できるものがない。
「出来映え次第ではお金を払いますよ」っていうんじゃ、困りますよね。
やっぱり取りかかる時点では、契約が確定しててもらわなきゃ困る。

それって極論しちゃうと「僕の目を見て黙って信じろ」って
言ってるのと一緒ですよ。

 
お金を生み出す瞬間っていうのは、契約をかわしたその時点なわけじゃないですか。
でも、その時点ではものがない。
デザイナーとしての能力がゼロだろうが、お金は生み出せるんです。
サギになりますけど・・・。その辺のメカニズムが分かってないとダメです。

つまり、あなたがどのくらい優れたデザイナーなのか、
どんなに優れた作品を描けるのかって事と、
お金を生み出す事は、実は何の関係もないって言う事ですよ。
デザイナー達が自分のよりどころにしている、デザイン力だとかなんだとか。
お金を生み出す事とは関係ない。


:ある意味期待にお金を払ってくれるようなもんですね。


でしょ? それが期待値以下だったら、もうオーダーは来ないし。
期待値イコールだったら、もうワンチャンスあるかもしれないし。
期待値以上なら続く。


:よく考えたら、お客さんも随分バクチですね!


そうですよ。だから、腕じゃ売れない。
 よくマンガ家やデザイナーさんが「私の腕を買ってくれる」って言うけど、
腕なんか誰も買ってないって。だって買う瞬間には腕、出てないんだから。
過去のモノに対する期待値はあるだろうけど、今に対する腕はまだ見てないもん!
そこを勘違いしてる人が多いよ。二回目以降が腕が売れてるかもしれないけどね。
そのお金を生み出すメカニズムをちゃんと頭に入れておかないと、
最初に会った時のアピールポイントがずれちゃうんだよね。


:僕も新規営業って困りますよ。


多くの方が過去に作ったものをサイトで紹介していたりますが、
名の売れた人ならともかく、フツーの大多数の人はその方式で
売れるわきゃないだろうって、はっきり言い切れます。
オシャレなものやコミカルなものが得意だという若干の個性はあるでしょうが、
「それがあなただけのオンリーワンじゃないでしょ?」っていう事になるでしょ。
自分だけのオンリーワンがないと、自分のUSPが分からないわけでしょ?
それでいて、あなたのUSPは・・・なんて言っても、
自分が分かってないじゃんって言われちゃいますよね。

じゃあ、あなたのUSPって何?ってつきつめて考えると、答えはひつしかなくって、

「私という人間は、この世に私しかいない」

っていう事になるんですよ。

僕も、自分のWEBサイトでやっる事って同じ事ですよ。
マンガやイラストレーターやデザインの業界がどうかって事も勉強はしてますが、
そんな事はひっとつも吹いてません。
「俺はどんな奴か」って事が分かるようにしか作ってないですもん。
万事、自分がどう思ってこういう値段にしたか。
どう考えて作っているかっていう言い方を、全部にしてるんですよね。
で、そのホームページを見てると、その人の顔がそれなりに浮かんでくるようにしよう!
っていうそれだけしか考えてないんですよ。

極論すれば、広告業は「僕を買え!」っていってるようなもんですから、
そこにたどり着くようにWEBやパンフを作ったり、誰かに会ったときに
アピールするなりしないと、絶対に売れるわけないじゃないですか。
作品なんか買わないんだよ、人を買うんだよ。誓ってもいいですよ。

だって、マンガなんか特にそうなんだけども、すごくうまいAさん、
その人よりちょっとだけ劣る、やっぱりうまいBさん。
まったく絵の描けない人から見れば、どっちもただのウマイでしょ?

500階のビルと501階のビル。下から見上げたら同じにしかみえない。
冷静に考えたら違うかもしれないけど、お客さんっていうのは一階の入り口にいるんだよ。
そこから見たらまったく区別がつかない。
私の方が若干うまいんですよってアピールしても同じ事。
描けるか描けないかの二択しかないんだよ、微妙な差なんか関係ないんだってば。
北斗の拳風が欲しいかドラえもん風が欲しいかの二択はあっても、
その間なんかないんだよ。
それが分かるのは、僕らがプロだからであって、お客さんには関係ない。
そうすると、

同じものを買うなら
「あの人から買った方がいいんじゃないか?」


っていう所に落とし込むしかないんです。
「フツーの人がやっても同じ」っていうくらい著しく劣る場合は、
もう一回仕事考え直した方がいいよって言うけど、
そうじゃなければ貴方に頼みたいっていう人が、一人や二人って事はないはずなんだよね。

そう考えちゃうと、今ネットのご時世でしょ? ブログでもなんでもいいから、
自分っていう人間を分かってもらおうっていう活動を続けて、
会った人にもそれをやっていく。
その中で、出会いも重なっていくじゃないですか。で、たった100人ですよ。
そういう人を手に入れればそれで終わりでしょ。

その100人がちょっとした仕事でいいんですよ、
たとえば月一万円の取引が全員とあったとしたら、
もしくは年間10万円ずつの取引があったとしたら、それで年収1000万円。
個人所得として、それなりじゃないですか。

それで、その100人のためになる事だけ考えてればいいじゃないですか。
100人だけ満足させればいいんですよ。
たまに浮気者も出るから出会いは続けていけばいいです。うちはそれでいいと思ってます。
うちにもスタッフがいますが、このアシスタント達が巣立って行く、そうすると
こいつに着く100人が出るわけじゃないですか。それが大きくなったって事ですよね。
暖簾わけしても、人についてる100人だから、簡単に離れていかないですよ。

大手企業さんの数百万円の仕事を一件引き受けるのと、
おっちゃん一人でやっている中小企業の数万円の一件だったら、
僕はおっちゃん一件の方が大事なんですよ。

チリツモの一万円も長い目で見ると一番ベースとして安定してるし、
経営者直だから話も速いしね。
銭かね以外の所でも、飲みに行っちゃったり一緒にボランティアやったり。
その方が絶対いい。
大きい勝負したけりゃその上でやったらいいじゃん!


:大企業も、いつ潰れるかわかんないですしね。


フリーのクリエイターは、そいういう小さな一件一件をいかに大事にするか考えた方が、
絶対いいですよ。大きい所の人は見下ろしてくるしね☆

そのベースさえあれば大企業の理不尽なんか突っぱねられるし!!
実際つっぱねちゃったけど(笑)。あとから、上司の人がちゃんとあやまってくれた。
やるべき事をちゃんとやってれば、必ずどこかで見てる人もいるよね。
それでダメなら、授業料だと思えばいいじゃん。自分が弱い時期でも、
ダメなものはダメだと言った方がいい。キツイけどね。
ジャンプする前にはうんとしゃがまなかきゃ高く飛べないんだよ。
ジャンプする(目標)の高さに応じて、うんとしゃがまなきゃいけない。
それをやらずに「高いところに行きたい」ってのは違うと思うよね。

弱い時期、本当に首をつろうかっていう時期もあった。女房と二人で、
どっちが先に死んだ方が保険金の効率が良いかっていうのを必死に話あったよ。
っていうのも・・・・。


:・・・という所で、第三話に続く!

次回は、
ピンチの時、うるのさんに何がおこったのか?
一度手放した先にあったものとは・・・!?
楽しみに。

 

第3話

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誰にでも訪れるピンチ。
うるのさんにも、驚愕のピンチが訪れる。

その時、彼の身の回りに何が起こったのか・・・。

涙の第三話、どうぞ!!
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本当に首をつろうかっていう時期もあった。
女房と二人で、どっちが先に死んだ方が保険金の効率が良いか
っていうのを必死に話あったよ。


:いつぐらいの事でなんすか?


えっと、あれは・・・2002年。
それまでずっと打ち込んで来た仕事がパーになった時だよね。
あんときゃ、全部の夢が吹っ飛んだって思ったもんね。
俺の保険金の方が高いから、俺から死んだ方がいいだろ」って言ったら、
女房が「私の保険金があれば当面はしのげるから、あなたなら再起できるよ」って。
イヤイヤ、子供の事を考えたら母親が必要だろ!俺が先に行くから
みたいな感じでしたね。


:差し障りがなければ、どんな事があったのかお聞かせ願えますか。


ずっとホームページの仕事をやってて、自治体の仕事もたくさんあったから
20世紀の後半っていうのは調子が良かった。
そのうち「マンガでも読者のために描いていたわけだから、
それがWEBになっても閲覧者のために作りたい」っていう気持ちが強くなってね。

僕は企業のためのWEB作りじゃなくて、その企業の製品が社会に出回る事によって
生活が良くなるお客さんを一人でも増やすために作るってのを貫いてる。
そのためには民間企業のサイト作りをやりたいって思ってたんだ。
同じような事を考えてる会社があったから、営業と制作っていう風に
パートナーになってやろうって事になってね。
でも向こうは実績もないし、営業と制作だと割合が合わなくなってくるから、
「いっそ、おたくの社員になってやる」っ言ったんだ。

機材は全部持ち出し、資料も自腹、交通費の請求もせずに、蓄えも全部出したけど、
この仕事が当たれば全部返ってくるっていう希望があったよね。

そうやって2年たった。
それまで企画に携わってたシステムがあったんだけど、全然売れなかったんだよ。
モノは良いっていう自信はあったんだけどね。
でも、その開発の元会社の所に「30万アカウント分購入したい」
っていうオーダーが、世界に名だたる企業から入ったんですよ。
それは僕らの広報の結果っていう事もあったから、
その元会社も「彼らもこの話に絡ませてくれるんなら」
って言ってくれたんだよね・・・、うれしかったなぁ。
 
これ、年商2~3千万で苦しんでた企業が、いきなり三億になるっていう事なんですよ。
まさに「いつか必ず来る」って思ってた波がきたんです。

「これで、俺たちは生まれ変われる!」って、社員みんなで言ってたときに、
突然その会社から「おたくとは、やっぱり取引できない」ってバサッと言われた。
そんなバカな!って思っていたら、パートナーとしてやっていた社長が、
お客様から回収した代金をサーバー会社に払わずに、
全部個人的に使い込んでたことが発覚。
それを聞かされちゃ、僕も何も言えないじゃないですか。
サーバー会社にも行ってちゃんと土下座して。
自分の会社に戻って、社長つかまえて問いつめたら・・・
「出てけーー!!」ですよ。


:ヒドイ・・。


「今までのお客さんには挨拶させろ」って言っても、
「それは許さん、この場で消えろ!」って。

で、自分の個人資産である機材とかだけ車につんで、本当にそれで終わり。
だけど、それまでの自分の既存のお客さんとかも、
ぜーんぶその会社につぎ込んでたんよね。
「全部、自分の客さんもあげるから、早く大きくなってよ!」
ってやって来てたから、もう何もない。
もう、うるの個人名義でやっている取引は何も残ってなかったから、

「もう、首でも括るか・・・」って。

子供の養育費を稼ぐには、もうそれくらいしか道はないだろうと思った。
退職手当だって二ヶ月までだし、そこから先のビジョンもまるでなかったしね。
年齢的にも再就職はキビシイ時代だもん。


・・・と思った時に、近所のお客さんから電話がかかって来て、

「うるのさん辞めたんだって? でも、まだこの世界で働くんだろ?
 ウチ、“会社”じゃなくって“うるのさん”に頼んでたんだけど」

って言ってくれたんだよね。「空いてる場所貸すよ」とまで言ってくれて。

でも、自分はもう終わりだと思ってるから、考えときますって返事した。
ところが、次から次へとそういう電話がかかってくるんだよね。
うるのさんじゃなきゃ困るから!」って。
あっという間にそれが何十人とかになって、
売上が100万になっちゃうっていうのを、本当に目の当たりにしたんですよね。

それで「やれる!」っていうよりは「これで終わっちゃダメだ!」ってやっぱり思う。
何よりも、結局デザイナーさんが気に入ってるとか、
いつも打ち合わせしてるうるのさんが好きだったとか、
そういうところで仕事っていうのが動いてるって、段々わかってくるじゃないですか。
システムでもなけりゃ、企業名でもなんでもないんだよね。
結局、“人”にお客さんはついてんだっていう事がわかる。

つまり、自分のデザインの能力もマンガを描く力も、
脳の中にあるものは、その会社は奪えないんだよね。


勤め先がどこであろうと、奪いうがないんですよ。脳の中にしかないんだから。
お客さんとの人間関係も、その人の内側にしかないから、やっぱり奪えないんだよね。
失ったと思ってたのは全部勘違いだったんですよ。
全部自分の中にあった。

でも、その時にはいくら皆が支えてくれるって言っても、
まだたいした数字が立ってるわけじゃない。
一時的にご祝儀で仕事をくれたところで、
2~3ヶ月先の事を考えたらナイも同然だよって。
それでも「何か自分が役立つ事があるんじゃないか?」って思った。
その時ちょうとカミさんが

「私がパートに出る、たいした金額じゃないけど、
 それでもなんとか頑張って家計支えるから、あんた頑張ってごらん」


って言ってくれて。
俺はもう絶望してるのにカミさんの方は「あんたは何とかするはずだ」
って思ってるんだよね。
だから死ぬ死なないって言ってたときも「私が死ぬほうがマシ」って
あくまでも言い張ってた。
で、先のビジョンがあるわけじゃないけど、やってみるかって事になった。


今思うと、二人ともノーテンキだったんだろうなとも思うんだけど、
でも「なんとかなる」「なんとかする」って
信じてくれる人がいるのはウレシかったですね。
それに支えられて、本当に何とかしたわけだし。
本当にピンチだった時には、死ぬ覚悟までしてくれたし。

モノをはっきり言うくせに気が小さくて、ボクが怪我をすると、
不安感で先に気分が悪くなっちゃって、怪我人に介抱させるようなカミさん。
そういう彼女が命を預けてくれた。それは、とても大きなことだったと思う。

ボク自身も首を括る覚悟をしたけど、そうすると気持ちが楽になって、
死ぬんだったら、もうちょい足掻いてから死のうと思えた。
そう思って足掻いてみたら、状況がガラっと変わったんですよね。
躊躇していたことは、ちっとも躊躇するようなことじゃなかったりして。
ブ厚い壁に見えたものが、実は薄っぺらだったとでも言うのかな。
いや、それなりの厚さはあったんだけど、死ぬ気で体当たりすれば
破れるってことなのかな。
でも、一度破ると、次からは死ぬ気じゃなくても破れるようになるんだよね。
自分の限界がもっと深いところになる。

その、最初のひと押しをしてくれたのが、カミさんの覚悟だったと思うんです。

だから・・ってわけじゃないけど、ウチのカミさんは世界一ですよ。
外見も性格もダメな部分も全部好き。あ、娘も世界一。愛犬も世界一(笑)。
言い切ってもハズかしくはないっ!イノチより大事!


・・・で、やってみると仕事が入ってきた。
多少足下は見られるけどね(笑)。

でも「本当は50万のところを30万で!」っていうくらいのもん。
そん時の30万って、とてつもなくありがたいんですよ。
それが積み重なっていく。で、段々段々とやっていけるようになる。
なにより、そのキツイ中で仕事をやる事を覚えていくと、
自分の効率アップにもなるんですよね。つまり50万の仕事を30万でやり抜くには
どうしたらいいかって事を工夫するわけじゃないですか。
それが今度はノウハウになって、よそが50万でなければできないものが、
うちは30万で出来るようになっていくんだよね。
仕組みやシステムを作って、採算が上がる人間になっていく。
それが今の支えになってますね。

誰だって一度はそんな事があるみたい。
そんときにそうやって変わるっていうの分かるでしょ?
土壇場まで、本当に追いつめられて救われたっていう経験もあれば、
家族で話し合ってた時に、
「なんとかならなかったら、ならなかったでかまわないんじゃないか?」
って達観もできちゃったんですよ。
もっとキツイ所をしのいだ先輩ってのがいてね。
その人にも「あんた、まだ一度も勝負してねえぞ!」って言われた。

「広告やなんてのは商品の魅力を見抜いて、どう売り込むかを考える仕事で、
わたしもそれをやっている。私からあんたっていう商品を見たならば、
あんたはあんたで勝負すべきだ!」って。

それで、やって生き抜いた人が言うから、返す言葉がないんだよね!
「ハイ・・やってみます」って言うしかなくってね。
で、やったら「おっしゃつ通りだった」というわけです。
今は僕にも同じ事が見えるけど、そん時はそうだった。

本当に達観しちゃうとね、絶対に日本て破滅できない国なんですよね。
食えねぇ。なら、とりあえず渋谷の駅前で倒れてみるか・・・って。
おそらく、救急車なり警察なりが来て、本当に社会復帰できないくらい弱ってれば、
入院もさせてくれて治療費も払ってくれて、その後の仕事もあてがってくれる。
当座の事は考えてくれる。日本てそういう国でしょ? 
飢え死にしそうな人が倒れているから、とりあえず骨になるまでほっとこうよ
っていうのはこの国はできないんだよね。子供や家族がいても養護施設なんかもある。
それが幸せかどうかはわからないけど、そのまま死んでしまうって事は絶対ないでしょ。
そういう社会システムなんです。

これがアフガンだったら、そのままほうっておかれるかもしれませんが。
「この国は破滅できない」っていう風に考えちゃったら、
「なんとかなるじゃん」って僕は思っちゃった。
そこまで思うと、今度は逆に仕事が入ってくるんですよね。
なんで入ってくるの?って聞かれると困るけど、しゃべる事、話し方、
WEBサイトでの発言なんかも全部ひっくるめて、何か変わったんでしょね。
それまでの人間とは、違うスイッチが入っちゃった。

でも、僕はこれで「人は人にしか仕事を出さない」
ってよーく分かりました。

腕とか能力とかキャリアとかも当然アピールしますけど、極論するとそうなりますね。
だから自分を信じて人とつながり、目標100人の取引先を得れば、生涯心配いらない。

将来、社員を抱えたいってそれがまずベースにあって、
50とか100人の部下や社員を食わせようっていうビジョンを持ってるなら、
それじゃすなまいけどね☆

たとえば田舎だとしても、商店街に100件、多くても2~300件がいいとこかな
っていう地域だったと仮定する。そこをとにかく毎日歩く。
んで、「おばちゃん今日どう!?」「んーボチボチだねえ」っていう会話をする。
「じゃあ、この張ってるビラを作り直してあげるよ!」「ホームページこうしよっか!」
「タウン誌に出してみよっか!?」って提案をして、実際にやってあげる。
昼間はそうやって廻って、夕方から作業。月に何回やったからいくらとか言わなくて、
僕の為に毎月1万円だけ助けてよ!って言えば、それでやっぱり年収1千万円でしょ?
その上で自分が広告マンとしてでっかい仕事をやるんだっていうならそれでもいい。

その関係を作るのもすぐにはできないけどね。恋愛と一緒だから、
会ってすぐに結婚してって言ってもそれはムリ。
手間ひまかかるかもしれないけど、その女性を落としたいならかけようよ。

みんな玉の輿みたいな女性ばっかり追いかけて、
「そうじゃない可憐な野の花みたいな女性を大事にしよう」
っていう考えを持てないでいる。
届かないものばっかりに手をのばしているんじゃないかな。
一人のデザイナーを支えるぐらいのチカラは
中小のオッチャン達にも十分あるんだよ。

でも、それは仕事だけじゃ生まれてこないですけどね。

僕の場合だと、柏市でやってる市民イベントはずっとボランティアでやってきてて、
ホームページとかチラシも無料でやってる。
もちろんドメインやサーバー維持費もかかるんだけど、
何にも言わずに請求もせずに一人で支えてて、もちろんそういう仕事で支えてるから
「後は知らないよ」ではなくて、ミーティングにはちゃんと顔を出すし、
当日には売り子もやる。地元の土浦市でも当然同じようにやってます。
一日金魚すくいコーナーとかね(笑)。

そういう付き合いの中で、「あれやってくれないかなぁ」っていう声がかかる。
ところが、この「あれやってくれないかなぁ」までになるには
3年から4年はかかるんですよ。
その間、本気で取り組んでいるのか、金が欲しいからたんなる人脈作りのために
やってるのか見られてます。たんなる人脈作りでやってる人は1年もたないんです。
本気でやってる人なら3年もつんですよね。その時間をちゃんとしのぎきっていけば、
それは十分に生きて行ける場所になるんです。
この間、活動していた人で会社を解雇された人がいるんだけど、
「うちで面倒みてやるよ!」ってみんなが、就職先を面倒みてくれた。

人は見てるんです。

だから、食えないって言ってる人は「遠いものを見すぎてない!?」って僕は思う。
あとは「ちょうだい!」って言ってない?
言ってるうちは、たぶん仕事ってついて来ないですね。
仕事っていうのは自分が作った結果に対して、
「俺はこれだけの結果を出そうと思ってるからくれ!」って事じゃない?
だから「ちょうだい」は通らない。

若い人を見ててスゴク感じるのはそれ。
おねだりでももらえる仕事はもらえるんですけどね☆
でも、他の人もおねだりしてるわけだし、安定しないよね。
本当の人間関係っていうのは、ゼニがなんぼだからっていう所だけでは、
人を選ばないですよね。味は他の所がうまいかもしれないけど、
俺はここが好きなの!っていうレストランもあるじゃないですか。
それは雰囲気だったり、サービスだったり、人柄だったりする。

それを「俺は腕がいいから」って吹いててもしょうがないよ。
特にフリーでやってる人はそう。

美女がかならずしもモテるとは限らないしね。
「ブサイクだけどほっとけないなぁ」っていう人はいる。
もちろん腕は磨かなきゃいけないですよ。磨こう磨こうと努力は必要。
だけど、それがそのまま金額換算ではないよってことだと思う。


:最後に、30代のクリエイターに向けたメッセージをいただけますか?


うーん。
30代とは限らないけど、最近の若いクリエイターって、戦ってないなぁって思うんだよね。
たとえば、K-1選手みたいな暴漢がやってくるんだけど、
自分は武器も何も持ってない。助けてくれる人はどこにもいないとする。
逃げ足も勝てない。どうします?


・・・う~ん・・・・・・・・・・・・・・・第四話に続く!!


うるのさんは、本当にいい奥さんに恵まれたと思う。
でも、それはうるのさんの生き方も良かったんだと思う。
自分は家庭をかえりみず、困ったときだけ「一緒に死んで」は、
絶対に通らない。死んじゃダメだけど、同じ覚悟を持てるだけ
家族を愛していた結果が、奥さんの行動につながっていたはずです。


次回は、
20代、30代のクリエイターに向けての
うるのさんからのメッセージ「あなたは●●してますか?」
お楽しみに。

 

第4回

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
ついに、うるのさんのインタビューも今回で最後、
30代・20代の若いクリエイターに向けて「喝」が入ります。
僕と一緒に、今日から甘い気持ちは捨てましょう!
とにかく僕らは生き延びなくちゃいけない!!

最終話、どうぞ!!
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─


:30代のクリエイターに向けたメッセージをいただけますか?


うーん。30代とは限らないけど、
最近の若いクリエイターって、戦ってないなぁって思うんだよね。
たとえば、K-1選手みたいな暴漢がやってくるんだけど、
自分は武器も何も持ってない。
助けてくれる人はどこにもいなくて、逃げ足も勝てない。
どうします?


:いやぁ、なんとか立ち向かうしかないですね。


でしょ?
仕事ってそういう事ですよね?
なんとか戦おうとするから、ありえない可能性もあるかもしれないけど、
あきらめちゃったら終わりでしょ?
まだ、結婚してないとか、子供がいないとかの独り身だと、
あきらめやすいんだよね。自分一人の命だから。

これが、子供が生まれてオギャーって泣いてる姿を見たら・・・
この子だけは救わにゃ!!になっちゃううんだよ。
相手がゴジラだろうがガメラだろうが、知ったこっちゃなくて、
なんとかしてこの子だけは!ってなる。
俺が死んじゃったらこの子も死ぬってなったら「俺は死ねない!」ってなるし。
勝ち目があるから戦うって場合じゃないんだよね。
「勝てなくても勝つしかないだろうが!」
っていう発想しか出てこなくなるんだよね。
死ぬって答えは出せない。

例えばこういう地方で、
「コツコツ地元の人だけ相手にして生きて行けりゃいいや」
って思ってやってるとする。当然そういう所にも大手企業は進出してくるよね。
大手資本で市場がどんどん食い荒らされていく。
んで、それをかわす為にもっと僻地にまで逃げるとしよう。

でも、いつか必ずそこにもやってくる。
しかも、こっちは逃げるたびに力を失っていくんだよね。
絶対に逃げられないって所までいくと、もう手遅れで
あとは踏みつぶされるしかないでしょ?
・・・という事はどこかで食らいつくしかないんだよね、
相手がでかかろうが何だろうが。

仕事ってそういうもんなんですよ。どんな相手だろうと勝つつもりで挑むし、
理不尽だって言っても仕事って元々理不尽だし・・・ってね。
そう考えてないとダメだと思うんだよね。

だから「自分の腕やキャリアや能力ではこの仕事はこなせないんじゃないか」とか、
「そこまでは求められてないしぃ~」とか、色々言い訳してないで、
「言っちゃえよ、やっちゃえよ」って言うしか手がない。

戦わない理由って無限に用意できるからね。

僕は商売はケンカだと思う。自分が仕事を一本とったら誰か一人が
仕事を失ってるのは間違いないからね。負けたら食えないとしたら、
勝つしかないじゃん。
最近のクリエイターは、勝ちに行こうとする意識が弱い気がするね。


:失敗を恐れているって感じですか?


それもあるよね。
特に家庭を持ってない、追いつめられてない人には
「失敗したって、そんなに痛くないじゃん!」
「痛いの君だけですむじゃん!」って言ってあげたいよね。

で、失敗って年取れば取るほど「痛い」んだよねぇ(笑)。
「じゃあ今の内にやっとけよ!」って僕は思う。

今なら、ガムシャラな若さでぶつかっていっても、体力でなんとかなるし、
友達に「ワルイ!今月だけ食わせてよ!」って転がり込んでも、まだ許されるじゃん。
これが40代、50代になるとなおさらキツクなるぜ?
「今の内にいっぱい失敗しといた方がいいよ」って思うね。
30代なんか恐れるような年じゃないだろって思いますよ。


:当事者はなかなか気づけないんですよ。


うちの子供も忘れ物したりする事あるんだよね。
そうすると、女房が「あれ持ったの?これ持ったの?宿題やったの?」って聞いちゃう。
そんときゃ「言うなよ~、今のうちに痛い目に遭わさせてやってよ」って思う。
親がフォローできるうちに痛い目に遭って、経験をつませる失敗を奪うなってこと。
そのうちに失敗をかわす能力を身につけてくれない事にゃあ、困るじゃないですか!
成功体験なんて生きてればフツーに得られるであろう体験をしていけばいいんであって、
失敗体験を奪っちゃうのが、一番マズイと僕は思ってるんですよね。

「若いうちは失敗を恐れるなって言っても、怖いに決まってんじゃん!」
とは思うだろうだけど、逆に「今失敗しておかないと後で困るぞ」って思うね。


失敗ってせずにはすまないんだと思うんですよ。誰しもどこかではする。
いざした時に、それが本当に痛いっていうのようりは、
「スゲエ痛かったけど、今回はそれで済む」っていう方が良くない?
30代までは、失敗は恐れてもいいけど、逃げ回るのはやめようよって思うよ。
僕の場合は逃げたかったんだけど、
向こうから当たってきちゃったって感じはあるけどね(笑)。


:でも、みんな結構もがいてるんですよ。


うん、もがくよね。
デザイナーとかクリエイティブを目指す人間てのは、
自分のやりたかった道とか、やりたかった姿ってのがあって、
それがナマジあるもんだからソコからずれていく自分っていうのもある。
仕事があまり入ってこないデザイナーさんの場合だと、
バイトしてる方がまだ収入があるっていう状態の人が
ゴロゴロいるんじゃないかなって思うよ。深夜枠は高いしね☆


:逃げちゃおうかなって思うときもいっぱいありますよね。


あるある、いっぱいある(笑)。
だけど、結局は帰ってきちゃうっていう人たちもいっぱいいる。
この間もそういう人がいたんだけど、でも収入がない。
僕は就職を進めましたけどね・・・。

そういう人に、僕はよく「会社を職だと思うなよ」って言う。
だってデザイナーっていうのは職業ですよね。マンガ家も。
会社に入る事を就職っていうけど、あれ正しくは「就社」ですよ。
広告代理店A社からB社に移ったとしても、職業は変わってないんだから
転職じゃなくて「転社」じゃないですか。
じゃあ、ガソリンスタンドで働いてるマンガ家で何がおかしい? 矛盾してないでしょ。
人生のある時期にどこにいようが、どうだっていい事なんじゃないんですかね?
あなたがデザイナーであり続ける限りデザイナーでしょうが。
昼間は皿洗いしてて、夜はライブハウスで歌ってる人が
「俺はミュージシャンなんだ!」って言っても何にもおかしくないですよ。
同じ事です。

火事になったらまず逃げろよって僕は思いますし、
食えないならまず食えるようにしなければいけない。


とにかく「社」と「業」を一緒に考えないでほしいよ。
君が思っていれば君はマンガ家だ!!
就職したからあきらめるって事はない。
そこに務めて営業やっているデザイナーでいいじゃないか。
夜マンガを描いたり、提案にデザインをまぜてみたり、手はいくらでもあるぞ。
狭く考えて行き詰まる事はないよ。まだギリギリまで行ってないでしょ。

「全部やったか?」と思うよ。
どこかの社長さんみたいに、ホームレスから立ち上がった人だっているわけでしょ? 
だから誰でも必ず立ち上がれる。


:ドン底から立ち上がるっていうパターンですね!!


人からみれば僕もそう見えるらしい、だけど過ぎてみれば
「あの時のあれはドン底でもなんでもなかった」って事に気がつくんだよね。
その時自分がいっぱいいっぱいになっているから
ドン底になっているように見えてたんだよ。

日本で歩いてて地雷を踏む事はないんだもん。
ドン底っていうのはあれを言うんだと思うよ、たぶん。

人間って一回底を味わっちゃえば、次からは底がきつくなくなるって言うね。
仕事でも絶対ムリっていう事をなんとかやってみて、
次に同じものが来たときにはその時よりはだいぶ楽にこなせる。
それを繰り返してるうちに、そこより深い地獄が来て・・・、
さらに繰り返してもっと深く潜る事ができるようになる。
でも、苦しい事には違いなから、より浅い失敗ですむように
コントロールを覚えていったりするんじゃないですか。

今はネットもあるから、苦しいっていう事を僕みたいな人に相談してきたりとか、
なんだってできるじゃないですか。
その時は、僕ならこうするよっていう位の意見は言えます。
抱え込まないでもいいんですよ。匿名はイヤだけどね(笑)。


:特に広告クリエイターに向けて何かありますか?


「デザイナーを食わすために雇う企業はない!」ってこと。
自分がやりたい事を主張するより、自分が相手に何ができるかを主張するべきだよね。
デザイン物は買わない、結果が欲しいだけなんだから。
特に不景気になるとそうですよ。広告業なんて最初に冷え込むんだから。

僕らがこの世界に入った時ってバブルの終わり頃で、
逆に言えば一番バブルが盛り上がっている時だった。
その時代はイメージ広告も山でさ、出せば売れるっていう時代だった。
ワンコピー・ワンビジュアルとか、ちょっと遊び心があるやつね。
今は絶対通らないよ。

それを見て育ったとしても、そういう広告を打ってるのは大企業だよね。
大企業っていうのは数を打つ。
多額の予算であらゆる角度から打つ広告の一部として、
そういうやり方も組み込んで行くっていうだけなんだよね。
でも予算の少ない中小企業じゃ絶対に無理。
それって、一日でも早く結果に結びつかせようって事なんだよね。
10年後のために今は頑張ろうってならない。


マンガ広告ってすごく遊び心のある広告じゃないですか。
でも、それが遊び心だけじゃなく、結果につなげるための
広告なんだっていうのをすごく意識しているんだよね。

お客さんも「ちょっと毛色の違った広告打ちたい」っていうだけじゃ買わない。
WEBサイトも「アクセス数なんかどうでもいい」ってお客さんには言ってるよ。
「冷やかし百人よりも売れる十人が来た方がまし」
そういう目線でやってるから、紙よりもよほどシビアです。

僕のサイトもそうで、僕のやり方が合わないっていう人はこないようになってる。
でも、そこで合うっていう人はバッチリ合う。
そういう人を100人集めようよっていう話。
だから、こっちもお客さんを選んでるよね。


:僕は、ばっちりスゲーって思いました。


全然思わない人もいるんだよねー。
でも、とにかく自分のファンが読んでくれればいい。

知ってる?
全盛期のジャンプは12歳の男の子だけをターゲットにしていたんだよ。
11歳もダメ、13歳もダメって、ものすごい狭いターゲッティングしかしてない。
そうやって、はじめて大学生やサラリーマンまで読むものになるんだよね。

そういうのも見て来てるから、僕は僕の事を分かってくれる人だけのために
サイトを作ってるし、そうじゃない人の方を見なくてもいい。
うちのお客さんでWEB経由じゃない人って一件もいないよ。
こっちから売り込んでいった事もない。
必ず「サイトを読んで問い合わせをしてきた人」としかやってないです。
そんな中で海外の仕事も来たり、取材も来たりする。
僕はこのアパートでコツコツ仕事してるだけ。


:早くそうなりたいです。


なる時はなるんだよ。でも、それはいつくるか分からない。
僕だってここで8年。この世界に入って25年。
25年やって、今こうやって波が来てるけど、
何年目で波が来るか分かってるわけじゃないもんね。
人に寄っては30年目かもしれないし、40年目かもしれない。

でも「その時まで生き延びなきゃ、その波には乗れないんだ」ってのがあって、
しかもそのときに乗れるだけの力も持ってないと、
波が来てるのに乗れないって事になるかもしれない。

波は誰にだってくるにきまってんだけど、
来たときに乗れる状態に持って行くって事が最優先ですよね。

ちなみに、売れている人はかっこいいものを作ろうと思ってないよ。
商品が売れるには「今回はかっこ良くしなくちゃいけない」という考え。
デザイナーはアーティストじゃない。
じゃあ、何かっていうとマーケッターになるしかない。
腕やアートでは戦えない時代になっています。
デザインはできて当たり前、売れるのは知恵と工夫、アイデアの部分だけですよ。
そこを分かってからが、本当のスタートラインですね。


:そこを学校で教えてほしかったですね


でしょ。技術って社会に出てからでも間に合うんだよね。
自分も大学で講義してるけど、教えてるのはハートの部分だけだよ。
ハートがしっかりしてれば、なんとかなる!


:最後に今後の展開について教えていただけますか?


いずれ、店がやりたいですね。


:店!? それはどんなお店なんですか?


「コレチョーダイ!」ってデザインを買える店。
正確に言うとそうもいかないんだけど、
住宅展示場とか保険は、常設の所かありますよね。
お店として、・・・それです。

広告業界に絶対にかけているのはソレ。
住宅だって、施主の色々な要望に応じて建てるのであって、
最初から出来ているものを渡すわけじゃない。
それと同じで、過去の広告がいくらだったからって今回も同じではない。
あなたの要望に応じて、今回はこう作りましょう!
っていう相談をして作って行く。
それをどうガラスばりかするかなんですよ。
とにかく見えにくいでしょ?

お店っていうのは、広告業が今まで一度も目を向けてない。
それをどうやっていくかをずっと考えてて、
15年近く前に筑波で一度やって失敗こいてんだけどね(笑)。

あのときは経費とのバランスを僕が考えきれてなかったからね。
筑波の田舎で、15坪くらいのスペースだったけど、一ヶ月で1000人来てるんですよ。
そのときは入場料で考えてたんだけど、そうじゃなくて、
相談を受けて実際に広告につなぐっていうアクションに持って行ければ、
成功してたんだと思うんだよね。

広告はどこぞのオフィスでクローズで作られるものじゃなくて、
気軽にフラっと来て相談できるっていうものになる。
保険みたいに「32歳キタデザインさんの場合」とか、例だけでも展示したいね。

ウチがマンガのオーダーが取りやすいのはガラスばりだからだと思いますよ。
実際には見積もりをたてるとして、大方こんなもんという金額が出せればOKだと思う。
そこがデザイナーのたまり場みたいになっていて、
「今回これやる人~!」ってなればいいなぁ。

いっちゃえばアイデアショップ。どんな場所でもいいんです。
これは絶対、ネットの世界じゃなくて常設で必要です。
「あそこに行きさえすれば、問題を解決してくれそう」っていう場所。
広告業やそれに関連する事の駆け込み寺になって欲しいと思いますね。


:第二回 完

うるのさんの会社では積極的に主婦の方に仕事を振っている。
 学生のインターン制度をもうけていたり、
 社会貢献度の高い仕事専用の料金体制もある。
 サイトを見たときに、その広い視野での貢献度にもビックリした。

 事業自体は、すごく狭い所に絞っているように感じるが、
 そこが核となって、大きく広がっている。
 今からでも、この瞬間からでも自分にはできる事があるかもしれない。
 「つきつめると広がる」という事を見せてくれた事に感謝しています。

 僕が一番響いた言葉は「生きのびろ!」という一言。
 生きてチャレンジし続ければ、少なくとも気持ちよく死ねるんじゃないか?
 「立ち向かい続ける大人」うるのさんの生き様が与えてくれた影響は
 今後の人生の大きな指針となったと思います。

 このインタビューが少しでも皆さんのお役にも立てていれば幸いです。