2015年

6月

03日

「金の卵を生む小鳥」の巻

「金の卵を生む小鳥」

あるところに金の卵を生む小鳥がおりました。
大変珍しい鳥ですので、金の卵を生む小鳥は
その国で一番偉い王様のもとにやってきました。

王様は、こんなに珍しい小鳥は見たことがないと
金の卵を生む小鳥をたたえました。

王様は、家来にいいつけて
金の卵を生む小鳥を大切に育てさせました。

食べきれないほどのごちそうに、フカフカの巣、
キレイなお風呂に、そよ風にお陽様。
ここには小鳥を閉じ込めるカゴもありません。

王妃も王子も姫君もお城に来る偉い人たちも
みんな金の卵を生む小鳥をたたえました。


でも小鳥は、本当は金の卵など生みたくないのです。

かわいい かわいい ヒナの顔が見たいのです。

人がどれだけ喜んで、小鳥をたたえても
小鳥が本当に望むのは、かわいい 小さな ヒナなのです。

金の卵を生む小鳥は、毎日女神様に祈りました。
どうか金の卵の代わりに、かわいいヒナをくださいと。


あるとき女神様は言いました。
あなたが金の卵を生む小鳥として生まれたことには
何か意味があるのです。



それからしばらく、まったく雨が降りませんでした。
次の年も次の年も降りませんでした。

さくもつは実らず、たくわえも食べつくして
人々も動物もみんな飢えはじめました。

国のお金は全て隣の国からの
食料の代金に消えていきました。

もう、お金も食べ物もありません。
王様は小鳥に頼みました。

なんとかして、もっとたくさん金の卵を生んでもらえないだろうか。
このままでは、みんな死んでしまうだろう。


小鳥はたくさんたくさん金の卵を生みました。
その卵と交換に、隣の国の王様はたくさんたくさん
食べ物を送ってくれました。

おかげで、子ども達も大人達も動物たちも
みんなお腹いっぱい食べることができました。

たくさんたくさん金の卵を生み続け、
ついに小鳥は力つきて死んでしまいました。


女神様は迎えに来て言いました。

辛い想いをさせましたね。
さぁ、あなたのかわいいヒナのいる場所へ行きましょう。
みんなお腹をすかせて待っていますよ。

金の卵を生む小鳥は幸せそうに目を閉じました。